マグネットの基礎知識

マグネットを使用するにあたっての用語集や、一般的に使用されているマグネットの種類などのご紹介です。
a.マグネット用語集 b.永久磁石の種類と特徴
c.磁石の種類とその特性 d.電磁石について

a.マグネット用語集
@吸着力 A吸引力 Bヨーク(継鉄) C短絡
D残留磁束密度 E保磁力 F最大エネルギー積 Gキュリー点
H透磁率 I吸着力と吸引力
   のテスト方法
J残留磁束密度
   の測定
 

@吸着力
 磁石本体が、密着して吸着している場合、引き離すのに必要な力を、吸着力といいます。吸着力の単位はキログラム(kgf)を使用します。

 

A吸引力
 吸着するものを、遠方より引っ張って磁石に吸着させる場合を、吸引力といいます。吸引力が強いからといって、吸着力も強いとは限りません。吸引力の単位は、ミリメートル(o)を使用します。

 

Bヨーク(継鉄)
 磁石が持つ吸着力を増幅するための軟鉄版を総称してヨークといいます。磁力線は磁性体に透入すると、磁性体の両端に集中する性質があります。ヨークはこの性質を利用し、その磁石の持っているN極とS極を近づけるように組み合わせ、吸着力あるいは吸引力を増大させる役目を持っています。2個の磁石とヨークを使用した場合の、吸着力と吸引力の関係は次のようになります。

 

C短絡
 磁石の持っている磁力線は、N極からS極にある一定の放物線を描いています。この磁力線を鉄板などによって妨げると、磁石の能力は極端に低下します。磁石の能力を最大限に発揮させるためには、磁力線の短絡に注意しなければなりません。

 

D残留磁束密度(Br)
 残留磁気ともいいます。この値が大きいほど磁力が強くなります。ですが、応用機器の場合、残留磁束密度=性能が高いとは言い切れません。

 

E保磁力(Hc)
 この値が大きいほど磁力がぬけにくく、小さいほど減磁しやすくなります。

 

F最大エネルギー積(BH)max.
 残留磁束密度(Br)と保磁力(Hc)の積で、BrとHcおよびこの(BH)max.が大きいほど、安定した良い磁石といえます。

Gキュリー点
 磁石の残留磁束密度が0になる温度です。フェライト磁石の場合、約460℃がキュリー点になります。

 

H透磁率
 この値が大きいほど磁気抵抗が小さく磁化しやすい反面、減磁もしやすくなります。透磁率が小さいほど磁化しにくく、減磁しにくくなります。フェライト磁石のようにμが小さい場合多極着磁が可能になります。

 

I吸着力と吸引力のテスト方法
 吸着力や吸引力を計算式で算出することは、大変困難なものです。そこで、実際のものと同等の物を用意し、実際のワークでのテストが非常に重要となります。
 一般的な吸着力のテスト方法は、固定したマグネットにワークを吸着させて、プッシュプルスケールなどで引っ張り、マグネットからワークが離れた重量値を読みます。弊社では、この吸着力の単位を、ミリグラム(r)またはキログラム(kgf)としています。
 一般的な吸引力のテスト方法は、固定したマグネットにワークを徐々に近づけていき、ワークがマグネットに吸引された距離を読みます。弊社では、この吸引力の単位を、ミリメートル(o)としています。

 

J残留磁束密度の測定
 単体マグネットの残留磁束密度はマグネットの表面で測定します。装置として測定する場合は、機能を果たす箇所での測定が重要になります。測定はテスラメーターを用いて行います。測定する個所によっては異なる結果を得ることもあるので、測定個所の位置やギャップなどを明記する必要があります。

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b.永久磁石の種類と特徴                          bt-up.gif (883 バイト)上へ戻る
鋳造磁石 塑性加工磁石 フェライト磁石
希土類磁石 ボンド磁石 その他特殊磁石
鋳造磁石
アルニコ磁石

 高磁束密度、磁性の温度依存性が小さい、低温減磁、熱減磁が起こり難い、磁石の強度が強い、(非常に硬く、穴あけ切断等が困難)など極めて安定し磁石材料です。
 長い間、磁石の中心的存在であったアルニコ磁石も主原料であるコバルト、ニッケルの供給問題と価格の不安定から、価格の安いフェライト磁石に取って代わられています。
  しかしながら、外部の温度による磁気特性の変化が少ないため、計器用を中心に根強い需要があります。

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鉄・クロム・コバルト磁石

 鉄・クロム・コバルトを主成分とする磁石で、その製造工程はアルニコ磁石とほぼ同じです。 最大の特徴は、アルニコ系磁石の特徴を有しながら残留磁束密度がさらに高く、塑性加工が可能な材料特徴を持っています。
  また、コバルトの量がアルニコ系磁石よりも少なく、省資源型の磁石でもあります。

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塑性加工磁石
Fe−Mn系・Fe−Cr−Co系

 この磁石は、アルニコ磁石では難しい形状、薄板・線材などに適し、打ち抜き、絞り、カールなどにも自在な加工性に富んでいます。
 Fe−Mn系の半硬質磁石と、Fe−Cr−Co系の永久磁石があり、Fe−Mn系は主にヒステリシス材として、Fe−Cr−Co系は計測機器などに使用されています。

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フェライト磁石
Ba系・Sr系

 現在あらゆる分野で使用されているマグネットです。
 主成分は酸化鉄による粉末冶金品で、残留磁束密度はやや低いものの、保持力が高いという大きな特徴を持っています。
 等方性と異方性の2種類のタイプがあり、異方性は等方性に比較して約2倍程度の磁力を有します。原料が安いため、製品価格も比較的安価です。
 しかしながら、 粉末冶金品のため、非常にもろく、切断・穴あけ等の加工は困難です。
 温度による磁気特性の変化率が比較的大きくなります。

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希土類磁石
Sm−Co系(1-52-17系)
Nd−Fe−B系

 最大エネルギー積等、高性能なマグネットです。希土類磁石には、SM-Co 系 (サマリウム・コバルト)と、Nd-Fe-B系(ネオジム・鉄・ボロン)があり、希土類元素である材料を使用しているので、非常に高価です。
 近年、電子機器をはじめ、産業用各種機器において、小型化・高性能化の要求で、希土類磁石の需要が増加しています。

サマコバ磁石は、磁気異方性の優れた高保持力の1−5系磁石と、磁気エネルギーの高い2−17系磁石があり、いずれもネオジム磁石に比べて、残留磁束密度および保持力の温度係数が小さく、優れた熱安定性を有しています。 また、耐食性がネオジム磁石よりも良いことから、ネオジム磁石のようにニッケルメッキなどの表面処理をしなくても使用できる。
原料であるサマリウムおよびコバルトの価格が高いため、コストが割高であり、機械的強度が低いために欠け易く、扱い難い面もある。 

 ネオジム磁石は、高い特性と主原料が比較的豊富なネオジムと鉄のため、サマコバ磁石のよりコストも比較的安くできる。また、比重がサマコバ磁石よりも10%以上も低いため、実質エネルギー密度が高い磁石と考えられます。
さらに機械的強度が高いために、欠けや割れがすくなく、取り扱いが容易です。一方、残留磁束密度および保持力の温度係数がサマコバ磁石よりも大きいため、使用温度と動作点について注意が必要です。

ネオジム磁石の使用温度環境に対する磁束量の変化は、フェライト磁石よりも少ないですが、サマコバ磁石と比べると大きく、特に高温度領域で大きく減磁するので、特に注意が必要です。
 このほか、耐食性が悪いために錆びやすく、高温多湿の環境で使用する用途に対しては、表面処理が必要となります。

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ボンド磁石
柔軟磁石

通称:ゴム磁石・塩ビ磁石
・プラスチック磁石

フェライト系・Sm−Co系・Nd−Fe−B系

 原料磁石粉末(フェライト磁石粉・サマコバ磁石粉・ネオジム磁石粉)とナイロン系樹脂・ゴム等・添加剤等を混合し成形した磁石です。
 ボンド磁石はプラスチックやゴム等を含む分、磁力は落ちるものの、成形のままで寸法精度が高く(金型等にて製作)、鋳造磁石やフェライト磁石などではできなかった薄肉品や複雑な形状のものが製造できるなど優れた特徴を持ちます。柔軟であり、切断・穴あけなどが容易に行えます。
 用途としては、冷蔵庫のパッキンから始まり運転初心者マーク等がある。高い磁力を誇る希土類磁石粉を使用したプラスチック磁石が小型モーター用に普及している。これは軽薄短小に必要な高特性に加え、形状自由度に富み、信頼性に優れ、しかも比較的低コストで製造できるという特性がマッチしたためである。

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その他特殊磁石
マンガン・アルミ・カーボンマグネット

 マンガン・アルミ磁石は、アトマイズ粉末合金を採用した高品質で量産性に優れた新しい磁石です。 マンガン、アルミ、炭素を主原料とし、資源的な供 給不安が無く、コバルトなど稀少元素を使わない汎用磁石の中で機械的強度に優れ、切削加工性と多様な着磁が可能な個性的な磁石です。
 各種センサー、モーター、工具への応用により機能向上や新製品開発に貢献するエコロジーマグネットです。

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プラセオジム磁石・プラチナ磁石等

 プラセオジム磁石は、粉末工程を経ないで製造される異方性の高性能希土類磁石です。機械的強度が大きく、引っ張り強度はネオジム系焼結磁石の3倍以上を誇り、割れ・欠け等はありません。
 機械加工が容易にでき、穴あけ、ねじ切り、さらいなどを有する磁石が可能です。高温で曲げ加工ができ、一定の厚みのセグメント磁石等が製作可能です。酸素含有率が低く、錆びにくい組成です。

 プラチナ磁石はPt−Fe−Nd系の白金を主体にした鋳造磁石です。
 希土類磁石に準ずる強力な特性が得られ、機械加工仕上げで高寸法精度が可能、腐食環境中でまったく表面変化しない、最高級の耐食性磁石です。
 チップ欠けや割れが発生しないため、医療用具への適用面で関心が寄せられています。

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c.磁石の種類とその特性                         bt-up.gif (883 バイト)上へ戻る
アルニコ磁石 フェライト磁石 希土類
サマコバ磁石
希土類
ネオジ磁石
残留磁束密度 Br(kG) 11.5 4.4 11 13
保磁力 HCB(kOe) 1.6 3.2 6.8 10
保磁力 HCJ(kOe) 1.6 3.3 7.0 11
最大エネルギー積
(MGOe) (BH)max.
11 4.6 30 40
温度係数 Br(%/℃) -0.02 -0.18 -0.03 -0.12
キュリー点 ℃ 850 460 800 310
比重 7.3 5.0 8.4 7.5

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d.電磁石について                                  bt-up.gif (883 バイト)上へ戻る
 電磁石は、電流を通電すると磁力が発生し、電流を遮断すると磁力は発生しなくなります。電磁石には直流電磁石と交流電磁石があります。一般に私達の手もとに供給される電力は交流なので、電磁石もできるだけ交流を用いた方が便利です。ですから、電磁接触器や継電器などの小型のものは、ほとんど交流電磁石を利用しています。
 しかし、マグネット応用機器のような、大容量で使用頻度の高いもの、特別な形状のものなどには、直流電磁石の方が向いています。その理由は以下の表を参照して下さい。
直流電磁石と交流電磁石の相違
相違部分 直流電磁石 交流電磁石
コイル鉄心 鋳鋼、鍛鋼、軟鋼板等による塊状鉄心を使用。 ケイ素鋼板を成層したものを使用。
始動電流 一定のコイル抵抗のみで定まるため、安定している。 始動時に非常に大きい電流が流れるため、電源にあたえる衝撃が大きい。頻繁に始動を繰り返すと焼損の危険がある。
唸   り 唸りは生じない。 磁束交番による吸引力脈動の唸りを生ずる。
機械的強度 強い。 成層構造を要するため劣る。
動作時間 コイルのリアクタンスのために電流の確定に時間がかかるため、通電から吸引開始時間までに若干の遅れがある。 即応答性がある。

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